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位置情報エージェント

  位置情報エージェントは, 現在地周辺の情報を簡易に,かつ,様々なWWWサイトについて シームレスに検索できるようにするためのものであり, 次のような機能を持っている.

  1. WWWサイト毎に異なる,使用可能な位置情報の表現形態を判断する
  2. 現在地を示す情報を,位置を示す様々な情報に変換する
  3. WWWサイト毎に異なる,検索式を自動生成する

位置を示す情報には,緯度経度のような座標の情報, 住所や最寄り駅名,郵便番号や電話の市外局番など様々な表現形態がある. また,座標の表現形態も,緯度経度の他に,直交座標系(いわゆる19座標系)や その変形版に相当するような座標系などが存在し, 利用するWWWサイトによって,使用可能な位置情報の表現形態は 様々である.例えば, インターネットタウンページ では東京23区については19座標系の座標,それ以外の地域については住所による 位置の指定が許されているし, 駅前探険倶楽部 では最寄り駅名による位置の指定が可能であるし, 検索エンジン goo には任意の表現形態が指定可能であるといった具合である. 位置情報エージェントの(i)の機能は,利用するWWWサイトの構成に関する知識が 蓄積されたデータベースを参照し,位置情報のどの表現形態がこれから利用する WWWサイトにおいて使用可能であるかを判断する.

位置情報エージェントの(ii)の機能は, 緯度経度と住所,緯度経度と駅名などの位置情報変換用のデータベースを利用して, 得られた現在地情報を (i)で指定された他の表現形態に変換するものである. 現在地の位置情報は様々な形態で 提供される可能性があり,様々な位置情報の表現形態間での 相互変換が必要である.我々の位置情報エージェントは, 位置情報を必ず緯度経度に変換してから他の情報に変換する.

さらに,利用するWWWサイトによって,検索式の記述法は様々である. 位置情報エージェントの(iii)の機能は, WWWサイトの構成に関する知識のデータベースを 利用して,(ii)で変換した位置情報や,ユーザが指定した 検索対象の業種名などの付加条件や 4.2節で述べる 個人別時空間フィルタが出力する付加条件を,リンク先のWWWサイトに合わせて 検索式に変換し,最終的にURLの形で出力する.

位置情報エージェントの (i)〜(iii)の機能により,ユーザは,得られた現在地の位置情報の 表現形態の違いや利用するWWWサイトの構成の違いなどをまったく意識することなく, 同一のユーザインターフェースで, 現在地周辺の情報を簡易に,かつ,様々なWWWサイトについて シームレスに検索できる.

なお,様々なWWWサイトの構成に関する知識は,現在は 位置情報エージェントの運用者がWWWサイトの構成を理解して, 運用者が知識を与える形式となっている. 検索ページやリンク集のページをWebロボットで収集し, そのHTML文を解析することである程度,自動的にその知識を取得することは ある程度,可能であると考えられる. 特に,リンク先がHTMLのFORMタグを 使ったCGIの検索インタフェースを備えておらず,リンク集を提供するような 形のインタフェースしか持っていない場合, 位置情報エージェントの運用者が手作業でその知識を与えることは 繁雑であるし,また,リンク集のページ自身も時間変化する可能性が 大きいため,このようなWebロボットとHTMLパーザによる知識の自動獲得は 効果的であり,これについては現在検討中である.


Nobuyuki Miura
Thu Dec 11 18:26:15 JST 1997