WWWをはじめとするネットワーク上の情報は日々増大し, また,それらの情報を介在して形成されている ネットワーク上のコミュニティも出現し始めている. その一方で実世界では,現在地に関する情報や今の自分にとっての情報, 世の中のはやりやお勧めの情報などを知りたいといった状況が多く存在している. また,GPSや位置情報対応PHS等により簡単に位置情報が得られたり, モーバイルでの計算機環境も普及し始めている. このようなことから, ネットワーク上の情報やコミュニティといったいわばバーチャルワールドと, リアルワールドでの情報要求との統合が,位置情報やモーバイル環境に よって可能になり,その結果として,バーチャルワールド・リアルワールド の双方向の情報が効率良くやりとりされるようになると考えられる. このようなアイデアがモーバイルインフォサーチ構想である(図1).
このような構想の具現化には様々な形態があり, 個々の形態を段階的に実現・検証していきながら 全体の具現化を行う必要があると考えている. モーバイルインフォサーチ2実験では, その具現化のひとつの形態として, 図2のような枠組を考えている. この枠組では, WWW上の情報を選択的に収集[2] し,収集した情報を 位置指向の情報統合[3]を行っておく. ユーザ側から現在地などのユーザの状況の情報を何らかの形で あげてもらい,その情報に応じて収集・統合された情報を検索, さらに情報フィルタリングし,今のそのユーザにとって最も便利と 思われるタウンガイドを返送する.
位置指向の情報提供としては,
Mobile Linkや
YAHOO! GetLocalなどの
商用サービスや[4,5]などの
研究が多く行われている.これらは整理・構造化された
情報を提供しているのに対して,我々のフレームワークは,
未整理・非構造化の一般的なWWWの情報を収集・選択・統合し,
それらの情報に対して知的な処理を施して情報提供しようとしている点が
大きく異なる.